[14288] エゾの花 |
福管理人 2017/06/02 11:39
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| 古道の山の野を見渡すと、薄紫の色が一面に拡がりこの世の光景かと思えるほどの草蒸れです。
何とも可憐でその花の大きさも草の大きさも解らないほどで、殆どは五ミリ程度の小花で覆いかぶさっているのです。
この時期には多くの野草の花が咲き誇りますが、この花は真面に咲いていては虫に辿り付いてもらえません。
そこで、他の野草の花も覆いかぶさるように、又、自分の葉も犠牲にしても「うす紫の花」で群れて生き残ろうとするのです。
そこで、一句
草に群れ むらさき競う エゾの花
だとすれば真っ赤な花にすればと考えるでしょう。 そうすればもっと虫がやって来るのに。 以前にも述べた「むらさきの語源」とも成ったとされるこの花の強さが観えます。
ところが、この花は「薄紫」を選んだのです。 何故なんでしょうかね。
日本元来の「むらさきの花」は「エゾムラサキ」、伝来種は「勿忘草」。 実に酷似していますが、「花の小ぶり」と「群がる仕草」は全く違うのです。 確かに、伝来種は、名前の通り、「忘れ草」の観があるが、未だ遺されているこの人里離れた山里の「エゾムラサキ」も短期間で勝負するので「忘れやすい草」なのでしょうが。
人の無力な者の儚さと強さを奏でて居ます。
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