鈴木氏発祥の環境写真 詳細は本文参照 亀の井である。 この井戸から大変おいしいとされて熊野古道の藤白神社をほぼ毎年の様に訪れた天皇や上皇の一行から讃美を受けた「紫の水」の出所である。
この井戸は本殿前の広場の中央に位置している。 千年の楠の木に空が覆われてひんやりとした雰囲気である。 特に夏になると、極めて涼しく、藤白の山や神社の楠の大木から出す酸素が余計に冷やしてくれる。 昔、夏になると近所の子供や年寄りがここに集い大いに憩いの一時を経たところでもある。 小さい子供達は直ぐ神社下の近くの干潟で海水浴をし、帰りには又裸になりこの水で頭からかぶるなどして昼寝の時を過ごしたものであった。 中央には奉納相撲場(最近まで在った)があり、ここで再び遊ぶなどして過ごす賑やかな場所でもあった。 平安の古でも同じであっただろう。 古の熊野詣での旅人の讃美だけではなく、上記したような何時の時代にも地元の人々の生活の一部としてそれは全てこの井戸の水に引き寄せられるのが人の本能であろう。 それを知り得た事も含めての天皇らの讃美も歌だけではなく人の営みの元と成っていた井戸のその意を汲んでのことであろう。 況や万民の水であり「蟻の熊野詣」と言われるくらいに信仰の対象として一般市民も旅の疲れと喉の渇きを癒した場所の紫の水である。 この地で産した紫色の藤白墨や紫色の硯もあり、藤紫の藤白山もまゆみの紫花の色も全て紫に包まれたむしろ「紫の地」でもある。
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