５家の青木氏特に伊勢青木氏は桓武天皇期に前述した5つの牽制策で衰退の一途を辿ったが、桓武天皇の子の嵯峨天皇（786−842　位809−823）は渡来系一族の平氏の賜姓を実行した事に同じ方法を採らなかった。
超貢献度のこの一族にたいして普通であれば賜姓し続ける筈であるがしなかつたのは一体どの様な背景があったのだろうか。検証する。
1　皇族として賜姓したが事実は渡来系であり異なる事
2　天智から光仁天皇までの皇族賜姓青木氏の身内の伝統を護る事
3　今度は渡来系一族への牽制をする必要がある事
4　再び増え続けた皇族一族の維持費の軽減を図る必要がある事
5　律令制度が整った現状の今政治への見直しが出た事
以上が考えられる。
この事に付いて詳しく検証する。
1　に付いて
前記したように高尊王や高望王、同一住居の伊勢伊賀地方等明らかに皇族と見せかけた賜姓であつた事から、衰退して行く伊勢青木氏などを見て矢張り一族賜姓の族を護ろうとしたのではないか。そうでなければ結局身内を無くすことは天皇家を弱くする事と父のやり方を見て認識したのではないか。その証拠として。嵯峨天皇に即位する前は平城天皇（現状維持をしていた）が即位していた。この天皇は兄弟であるが3年で病気で譲位した。そしてその後、再び、810年薬子の変が起こるが、天皇としての考えを持っていたと見てこの変を察知つぶした。この変を企てた藤原式家は衰退した。
そして、嵯峨天皇の考えを後押ししていた秀郷の北家が台頭した。
伊勢青木氏の牽制策で伊勢の守護になつた藤原藤成の子供の豊沢（藤原秀郷の祖父）の時の出来事である。
この藤成は5−6年程度の任期でありその後、810伊勢青木氏は守護に戻っている。秀郷の祖父が初めてこの功績で下野国と備前の守護になつている。（下野の豪族の娘を母）　
ここで伊勢青木氏と藤原秀郷とはここで繋がっているのです。
青木氏牽制策で祖祖父の藤原藤成が伊勢守護に
伊勢青木氏を天皇を補佐して伊勢に戻した祖父の藤原豊沢
下野の守護になり坂東に根着いた藤原豊沢
豊沢の影響を受けた孫の押領使の秀郷が青木氏を出した。
伊勢青木氏にしてみれば、この北家藤原氏は恩人である。
2　に付いて
嵯峨天皇はこの考えのために、賜姓を青木氏から変更して、同じ方式で第６位皇子を源氏とした
父の手前上、青木氏の姓に戻す事は角が立つので避けたのではないか。そして、この時、弘仁5年に詔書を発して、正式に4世６位臣下方式を定めた。8人の皇子皇女を臣下した。そして、このうちの６位の皇子を源の信として初代の源氏が誕生した。この時、同時期に伊勢青木氏も伊勢神宮の護り守の守護として戻っている。つまり、
朝廷の守護神の伊勢神宮の守りは藤原氏ではなく皇族一族の者に戻す事が本来とした証拠であり、渡来系一族では困るのである。
渡来系平氏族を賜姓し続けることは出来ないのである。桓武天皇の施策は間違いとして嵯峨天皇が改めたことになる。
そして、伝統ある伊勢青木氏の衰退はこのためには困るとした。
伊勢は青木氏に付いてのこの考え方の伝統は織田信長の伊勢永嶋攻めの1576年まで続いた。（後述する）
この伝統を守るために、この時から青木姓を名乗ることを禁止した。そして、源氏はこの後の天皇の第6位皇子の賜姓で、15代続いた。17人の皇子と15人の皇女の臣籍が行われた。15家15流ある。
（16家16流とする説もある）賜姓を外れた者は比叡山か門跡寺院への入山が主となり、学僧となった。この者たちが還俗したときは青木姓を名乗ることを許した。皇女は斉王か他家に嫁いだ。
嫁いだ先は家紋の違う源氏一族としてその男子の子供は名乗りをあげた。本来の皇族賜姓の家紋は笹竜胆である。しかし、家紋の違う源氏一族は源氏宗家の許可を得ていない事を主に意味する。（又上記の皇子皇女の数からして青木氏と源氏の名乗る数は多すぎる。前記した戦国時代の家系偏纂である。）
皇族賜姓族は青木氏５家を含むと21氏となる。
賜姓青木氏から還俗青木氏が、賜姓源氏からは家紋違いの源氏がでた。家紋笹竜胆は賜姓青木氏5と佐々木氏2と大島氏1の３氏である。（大島氏は源為朝の逃亡先伊豆大島での子孫）　　続く。