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フッ・・・

第四十四話

えみこの話 〜目玉〜

語り手:虎 UwBV6ZBN0

161 :虎 :2006/08/12(土) 01:24:31 ID:UwBV6ZBN0
えみこの話
〜目玉〜
1/4

僕の友達についてお話します。

小学校6年の時でした。
僕のクラスに転校生が来ました。
名前は、「えみこ」(仮名)
で、この転校生がかなり霊感が強いんです。
なんでも、お婆さんが霊媒師だったそうで。
えみことは、その後も中学校の部活が一緒でいくつかの怖いエピソードがありますが、
それはまた後で。
この話は、えみことの最初のエピソードです。

えみこの霊感が強いという話は瞬く間にクラス中に広がりました。
この時僕は、親友にしか「見てしまう」ことを話していなかったんです。
信じてもらえないと思ってましたから。
ともかく、えみこは瞬く間にクラスの女子の人気者になりました。
クラスのがき大将連中はそれが気に入らなかったのでしょう
えぇ僕もその一人だった訳ですが・・・。

162 :虎 :2006/08/12(土) 01:25:04 ID:UwBV6ZBN0
えみこの話
〜目玉〜
2/4

えみこが転校して来てから何ヶ月かが過ぎたある日の事。
学芸会の準備の真っ只中。
僕らのクラスは体育館の大掃除係り
チャンスとばかりにクラスのがき大将連中は、体育館の倉庫にえみこを閉じ込めました。
当然僕もその仲間の一人。
当時、その倉庫は幽霊が出るって評判でした。
外側から、男子3人ぐらいでドアを押さえつける。
小さな窓がついていてカーテンが掛っているのですが、少しの隙間から中が見えます。
僕は一部始終をその小さな窓から見ていました。
最初の内は「やめてよ〜。」などと言っていたのですが、突然えみこは

「やだ〜、こないで〜〜〜〜!!。」

と叫び始めました。
中を見てみると、真っ暗闇の中、えみこは何度も後ろを振り返りながらドアを叩いています。
突然の事に、僕らはびっくりしたのですが、一人が「どうせ、あんなのウソだよ。」といったのを聞き、
さらに強くドアを押さえる。
しかし、えみこがドアを叩く音はかなりの力でした、
さらにその叫び声は断末魔の叫びのようで何かに怯えていました。

さすがにただ事ではないと思った僕は、
「やばいよ、本当に何かいるんだよ。」と言いました。

やっとの事で、押さえつけていた3人がドアから離れました。
凄い勢いで、飛び出してきたえみこは泣き喚きながら走って体育館を飛び出していきました。

163 :虎 :2006/08/12(土) 01:27:10 ID:UwBV6ZBN0
えみこの話
〜目玉〜
3/4

唖然とした僕らは、何も声をあげることが出来ませんでした。
友達の何人かは、中を覗いたりしてましたね。
それで、僕も小さな窓のカーテンの隙間からもう一度、中を覗きました・・・・・・。

すこし時間がたって、僕らは落ち着きまた体育館の掃除を始めました。
結局、その中には何もいないと言う事になり、
皆は「やっぱり、何もいなかった」、「嘘だった。」と
言っていましたが、僕だけは終始無言でした。
なぜかって・・・・?
実は見えたんです・・・。
最後にカーテンの隙間から、中の暗闇を見た時。
すぐあっち側に、同じようにこっちを覗いている目玉があったのを・・・。
眼と眼が合ったと時の事、いまでも忘れられないです。

164 :虎 :2006/08/12(土) 01:27:40 ID:UwBV6ZBN0
えみこの話
〜目玉〜
4/4

その後、えみことは仲良くなりよく2人で話しました。
あの時えみこは中年の男の人がいるのが見えたそうです。
その男がゆっくりとえみこに近づいてきたそうです。
えみこは言ってました。

「でも、何か可哀相な事したかも・・・、だってあの人とても寂しそうだったんだもん・・・きっと私達が騒いでるのうらやましかったんだよ。」

そして、僕もあの事を話しました・・・・、目があった事を。
そしたら、こう言ってましたよ。

「なに言ってるの、あの人最初からあんたの事見てたんだよ・・・・、私に近寄りながらもずっとね・・・。」

その後、その「男の人」が現れる事はありませんでした。
何でも、その次の日えみこはお婆さんに貰った線香を持ってまたあの倉庫に行ったそうです。
えみこは、そんなやさしい子でした。
(今では結婚して幸せにしてます。)

【完】


フッ・・・