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フッ・・・

第九十八話

孤独な女性

語り手:石 Hp8u/Jog0

460 :石 :2006/07/23(日) 05:42:57 ID:Hp8u/Jog0
九十八 (孤独な女性)

私が小学生だったときの話です。
平屋で、子供部屋も無く狭い家で、兄と私が不満がっていた頃に、
親が離れを作り、子供専用の家を建ててくれました。

初日に、家具などを移動してからすることもなくぼーっとしていると、
どこからともなく女性の泣く声が聴こえてくるのです。
かなり悲しいことがあったのか、その嗚咽は部屋中に響きました。

そのとき、同じ離れの別の部屋にいた兄に聞くと、まったくそんな声はしなかった、とのこと。
この敷地内に地縛霊がいるんじゃないか、と両親に聞いても一蹴。

それからしばらく日も経ち、私自身も忘れてしまった頃。
真夜中の大雨の中、ふと外を見るとベランダに女性が立っていました。
一瞬だったのでよく覚えてはいませんが、途端に怖くなり寝てしまったのを覚えています。
私はそれ以降、寝るときは母屋にいるようにしています。

そのときの女性の表情はとても悲しそうで、また、羨ましそうに部屋の中を傍観していました。
それからは、女性の姿は窓の外に映ることはもうありませんでした。
たまたま部屋の前を通ったのか、それとも未だ外からこちらを見ているのか。

完。
ありふれた陳腐な話ですいません。

【完】


フッ・・・